【NEWSとSDGs】目標7と関連づけて考えよう!

● 世界の7億人 電気利用できず(2022年7月5日の記事より)

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 読者の皆さんは電気がない生活を想像できますか?スマートフォンやパソコンの充電、机の電気スタンド、もちろん、冷蔵庫、テレビ、エアコン等々、電気がなくなる生活は想像できないのではないでしょうか。

 

 国連や世界銀行、国際エネルギー機関(IEA)などの国際機関が、世界のエネルギーに関する報告書を発表しています。今回発表された報告書によると、世界では電気のない生活を送っている人が5億6,800万人もいるということがわかりました。もちろん、この数値は以前よりは改善しているものの、改善率が緩くなっていることが指摘されています。また、世界で24億人が有害な燃料を煮炊きに使っており、環境や健康への影響が危惧されていると指摘しています。

 

 この報告書では、もうひとつ重要な指摘がなされています。それは、再生可能エネルギーです。再生可能エネルギーとは、太陽光や風力などの自然エネルギーにバイオマス発電などを加えた発電方法で、二酸化炭素などの温暖化ガスの排出が、石炭や石油などの化石燃料を燃やす火力発電に比べて、かなり低く抑えられます。そのため、地球温暖化対策に有効であるとされています。現在、私たちが使う電力のうち再生可能エネルギーの比率は17.7%となっており、2010年の16.1%からわずかしか伸びていません。しかしながら、世界各国は再生可能エネルギーへの投資を拡大していて、カナダやスウェーデン、デンマークなどは発電量のうち約7割が再生可能エネルギーとなっています。わが国でも、現在2割程度の再生可能エネルギーによる発電を、2030年には4割弱まで拡大する計画が立てられています。

 

 しかしながら、現在、世界的にエネルギー価格が高騰しています。ロシアのウクライナ侵攻により、ロシアからの天然ガス供給量が少なくなったことで、ヨーロッパ各国が大きな影響を受けました。その余波が世界各地に拡大しているのです。わが国では、電気料金の上限価格が決められているものの、大手電力会社10社すべてがその上限価格に達しました(2022年8月時点)。今後もさらに上昇することが予想されています。

 

 電気は世界中のすべての人々にとって必要不可欠です。しかし、温室効果ガスを多く排出する化石燃料を使った発電ではなく、環境にやさしい再生可能エネルギーで電気をつくるようにしなければならないでしょう。その急速な技術開発や普及が求められているのです。