【NEWSとSDGs】目標9と関連づけて考えよう!

● デジタル庁発足(2021年9月2日の記事より)

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 わが国のデジタル化は世界的に見ても遅れていると言われています。例えば、引っ越しをしたり転職をしたりする際に必要なさまざまな書類提出は、わが国ではほとんどが「紙」に書いて「窓口」に提出する形式となっています。当たり前がゆえにその不便さを感じている人は少ないかもしれません。ヨーロッパの小国エストニアでは、行政手続きのほとんどがデジタル化されていると言われていて、人々は役所に行かずとも手続きが可能なのです。

 

 デジタル化はSDGsの推進にとって非常に重要です。まずは、書類、つまり紙を必要としないことで、過度な森林伐採を防ぐことにつながります。また、役所に多くの人が「行く」ことで、その移動手段による温暖化ガスの排出などにつながってしまいますが、デジタル化はそれを防ぐことができます。さらに、障がいなどがあり移動することに困難を伴う人にとって、デジタル化はその不平等を解消することに貢献するかもしれません。

 

 デジタル化はさまざまなSDGsゴール・ターゲットに貢献するでしょう。SDGs9番「産業と技術革新の基盤をつくろう」には、社会のインフラ開発が盛り込まれています。インターネット環境の整備などのデジタル化の推進は、このゴールに貢献します。12番「つくる責任つかう責任」では、食品ロスの半減や廃棄物の管理の徹底などが盛り込まれています。どこでどのくらい無駄や廃棄が発生するのかを自動的にデータを収集することができれば、効率的な対策を施すことができるでしょう。4番「質の高い教育をみんなに」では、すべての人に質の高い教育を提供することが目指されています。しかし、今回の新型コロナウイルスパンデミックの中、インターネット環境が整っていないためにオンラインなどで授業を受けることができない子どもたちが、世界ではもちろん、日本でも少なくなかったと思います。このほかにもデジタル化は、多くのSDGsの解決につながることが期待されます。

 

 今年9月、わが国政府に「デジタル庁」が発足しました。マイナンバーカードに関するシステム構築、各種公的証明の電子化、電子署名など、人々の生活をより便利にするためのさまざまな仕組みづくりを担うことになります。しかし私たちの生活が便利になる一方で、個人情報が流出したり、このような環境の便利さを享受できる人とそうでない人の格差を生んだりする可能性があるなど、デジタル化の推進には慎重になるべき側面も多くあると言えるでしょう。