【NEWSとSDGs】目標13と関連づけて考えよう!

● 気候変動の影響 食料価格が高騰(2021年11月9日の記事より)

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 最近、食料品の値段が上昇していることに気づいている人も多いのではないでしょうか。特に小麦粉を使っている食品、油、牛肉などの値上げは私たちの食卓にも直接関係してくるので、困ってしまいます。これは、もちろん新型コロナウイルスのパンデミックが原因と言われています。生産、加工工場の操業停止などによる生産量の減少や、輸送するドライバー不足により品不足に陥り、価格上昇を招いています。加えて、原油価格の上昇も価格上昇に影響しているでしょう。

 

 しかし、より深刻なのが気候変動です。私たちの生活が豊かで便利になる傍ら、産業革命以降の地球の気温はすでに1.1℃上昇していることがわかりました。これが気候変動をもたらし、干ばつや豪雨などで食料の生産がままならなくなっています。途上国では、直接的な食料不足による飢餓人口の増加が懸念され、先進国であっても農産物を生産し輸出している国は大きな影響を受け、世界的な食料品価格の上昇につながっていきます。SDGs2番「飢餓をゼロに」では、飢餓の撲滅をめざしていますが、逆に飢餓人口が増えているという調査結果が明らかになり、事態は予断を許さない状況となっています。飢餓の問題はSDGs1番「貧困をなくそう」や3番「すべての人に健康と福祉を」にも大きく関係してくるのは言うまでもありません。

 

 SDGs13番「気候変動に具体的な対策を」では気候変動に歯止めをかける取り組みが推進されています。2015年の「パリ協定」では、世界の平均気温の上昇を2℃以内、できれば1.5℃以内とすることが確認されました。さらに進んで2021年10月下旬からイギリス・グラスゴーで開催されたCOP26でまとめられた「グラスゴー気候合意」は、地球の平均気温の上昇を1.5℃までに抑える努力をすることが確認されました。加えて、このCOP26に集った国や団体等から、途上国などの農業分野に資金を投入し技術化を促しながら生産を安定させる取り組みを支援することが確認されました。いち早く気候変動に歯止めをかけ、安定的な食料の生産と流通を確保しなければならないのです。

 

 しかしながら、世界の人口は増加し続けています。世界人口白書によると、2021年の世界人口は約79億人であり、2050年には97億人、2100年には109億人になることが予想されます。一方で、食品ロスの問題も顕在化しています。わが国では、年間約570万トンの食品が食べられるにもかかわらず廃棄されていて、生産と消費のアンバランスさに私たちは問題意識を強く持たなければなりません。このように、気候変動への対策を行い人口急増に耐えうることができる「食の安全保障」は、私たちが避けて通れない問題となっています。