【NEWSとSDGs】目標2と関連づけて考えよう!

● 食料自給率 過去最低水準37%(2021年8月26日の記事より)

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 2020年、世界の飢餓人口は前年度より増加し、推計で最大8億1,100万人となりましたが、これは、全人口の実に1割にあたります(*1)。新型コロナウイルス蔓延によって、食料の生産や物流などに障害が生じただけでなく、職を失い食料を買うこともままならない人が多くなったことによる影響も大きいと言われています。また、アフリカでは実に人口の2割が飢餓状態に置かれていると言われています。栄養不足で死に至る人も少なくありませんし、乳幼児の適切な発育に悪影響が及ぶことは想像に難くないと思います。

 

 一方、わが国の食料自給率が低下したというニュースが流れました。カロリーベースで37%と、口にする物の多くを輸入に頼っており、わが国の食料自給率は年々低下しています。特に、私たちが日常的に食べているパンの原料である小麦は15%、そして畜産物(肉や卵など)は16%とその多くを輸入に頼っているのが現状です。加えて、食品ロスの問題も深刻です。わが国では年間で約600万トンが廃棄されていて、これは一人あたり1日お茶碗1杯分に相当します(*2)。飢餓で苦しんでいる人がいる中で、日本人は食べられる大量の食料を捨てているのです。

 

 SDGs2番は「飢餓をゼロに」です。2030年までに世界中の飢餓を解消し、持続可能な農業を促進することが目標とされています。世界中の飢餓を撲滅することにより、栄養不足を改善し、乳幼児の発育を促進することなどに取り組まなければならないのです。

 

 しかしながら、状況は厳しいものがあります。一つは、今後予想される人口増加です。現在約77億人の人口が、2050年には97億人、2100年には109億人に達するという国連の推計があります。これだけ多くの人口を養うだけの食料の生産がこれから先求められるのです。もう一つは、気候変動です。アフリカ諸国や中央アジアでは深刻な干ばつが発生していて、農業生産に莫大なダメージを与えています。これらの国々はまた飢餓に苦しんでいる国々でもあるのです。

 

 このように飢餓の問題はSDGs2番だけにとどまらす、1番「貧困をなくそう」、3番「すべての人に健康と福祉を」、12番「つくる責任つかう責任」、13番「気候変動に具体的な対策を」など、多くのSDGsのゴールにかかわっているのです。つまり、飢餓の問題に対しては総合的な視点からの解決が求められるのです。

 

 それでは、どのような解決策が考えられるでしょうか。その一つに食料の地産地消が挙げられます。地元で生産した食料を地元で消費できれば、食料自給率の改善につながるだけでなく、輸送等にかかるCO2排出も抑えられます。また、農業技術の革新を試み、それらの技術を海外に輸出することも考えられるでしょう。

 

 *1…ユニセフ
https://www.unicef.or.jp/news/2021/0140.html

 

 *1…農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kankyoi/attach/pdf/210427-3.pdf