【NEWSとSDGs】目標3と関連づけて考えよう!

● 出生数 初の80万人割れ(2023年3月1日の記事より)

 

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 先進国の中には人口が減少している国も少なくありません。わが国も例外ではなく、厚生労働省の統計によると、日本で2022年に生まれた子どもが80万人を割り込んだことがわかりました。最も出生数が多かったのは「第一次ベビーブーム」と言われている1949年の270万人でした。その後「第二次ベビーブーム」の1973年209万人をピークに一貫して出生数は減少を続け、2016年には100万人を下回りました。合計特殊出生率という、1人の女性が生涯のうちに産む子どもの数の平均を算出すると、2020年には1.33となっています。人口を維持するには2.06が必要と言われていることから、人口減少社会が改善されることはとても難しい状況となっています。

 

 このままでは、私たちは生産年齢人口(15~64歳)の減少という大きな問題に直面することになります。社会保障をはじめ、わが国の公的な制度は税金で賄われています。また、日本の社会保険世界の中でも充実していると言われていますが、その財源は、加入者や事業主が支払っています。つまり、働く人が減ると税収が減少し、さまざまな社会保障制度の財源が減少するために、その維持に黄色信号が点灯するのです。実際に厚生労働省の試算では、2020年には65歳以上の1人に対して現役世代2.1人が支える計算になっていますが、今後、少子高齢化率が進むと2065年には1.3人になることが予想されています。新しい社会保障制度の仕組みを考えることが求められています。

 

 SDGsでは3番「すべての人に健康と福祉を」のターゲット3.8に「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」が書かれています。誰もが健康を維持するための必要なサポートが受けられる状態のことを言いますが、これが危ぶまれます。また、8番「働きがいも経済成長も」では、ターゲット8.1に「経済成長率の持続」、8.5に「ディーセントワークの維持」が書かれています。ディーセントワークとは、働きがいのある人間らしい仕事ができることを言いますが、健康が損なわれるとそれが叶わない可能性が高まり、満足に収入が得られない状態に陥る可能性があります。SDGsの観点からも、少子高齢化対策は非常に重要なのです。

 

 これにはさまざまな課題が複雑に関係してくるために、その解決は簡単ではありません。しかし、その一つに女性の活躍推進が挙げられます。SDGs5番に該当しますが、わが国ではまだまだ労働環境における女性の立場は弱いと言わざるを得ません。子育てに対する男女の役割をシェアすることができるための、社会的な制度や企業における取組みが大事になってくるでしょう。