● 月1日以上「学習」した成人 7割超え(2022年10月29日の記事より)
学習者用解説
「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。
この記事を読んでいる生徒の皆さんは、学ぶのは大学までだと思っていませんか?勉強は若い頃にすることで、大人になったらもうしなくてよいと考えているならば、その認識は改めなければならないでしょう。
テクノロジーの進展が早いことは皆さんも日々の生活から感じていることでしょう。スマートフォンの機能がどんどん増えたり、電化製品の性能がどんどんよくなったりしますよね。また、近年は社会情勢の変化や人々の考え方や生活様式なども著しく変化しています。地域的な紛争が世界全体の経済に大きな影響を及ぼし、脱炭素社会の実現に向けて環境に配慮した行動をしなければならなくなるなど、学校の教科や勉強の方法も変わってきていることでしょう。そのような変化に柔軟に対応したり、変化を生み出したりするために、私たちは新しい技術や知識、考え方を絶えず習得していかなければならないのです。
ところが、わが国の大人はあまり学んでいないというデータがあります。OECD(経済協力開発機構)の調査によると、大学において25歳以上の学生の在籍率は日本人ではわずか2.5%です。OECD平均が16.6%、アメリカやオーストラリアなどの国々ではおよそ4人に1人が25歳以上の学生だということと比較しても、わが国の状況は大きく下回っています(*1)。また、政府がどの程度教育に予算をかけているかという調査でも、わが国は世界各国の中でも低い水準となっています。
SDGs4番「質の高い教育をみんなに」の中には生涯学習の推進が組み込まれています。生涯学習とは、学校での学習だけではなく、社会人になってからもさまざまな教育の機会を利用して学び続けるという意味です。そして、ターゲットSDGs4.7はこの地球を持続可能にするための地球市民教育やESD(Education for Sustainable Development・持続可能な開発のための教育)を推進していくことが盛り込まれています。加えて、SDGs8番「働きがいも経済成長も」の中のSDGs8.6には、労働者の職業訓練の推進が設定されています。このように、SDGsには大人になってから学び続けることの重要性が示されているのです。
そして、この新聞記事によると、社会人の学び直しに対する認識が変わってきているようです。働きながら資格を取得するなど、学び直しの意欲が高まっているように感じられます。多くの人が、学びたいときに学べるような社会の雰囲気づくりだけでなく、教育機関へのアクセスをしやすくなるような制度や仕組みの整備などが重要になってくるでしょう。
*1…高等教育機関への25歳以上の入学者の割合
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/043/siryo/__icsFiles/afieldfile/2017/12/11/1399236_4.pdf