【NEWSとSDGs】目標4と関連づけて考えよう!

● 不登校8年連続で増加 過去最多(2021年10月14日の記事より)

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 この記事を読んでいる高校生の皆さんは、新型コロナウイルスの蔓延により、オンラインで授業を受けることになったり、部活動が制限されたり、修学旅行や体育祭などの学校行事が中止になったりした経験をしたことでしょう。新型コロナウイルスによる大きな社会の変化が、学校教育だけでなく私たちの生活にも変化をもたらしました。学校に登校できないことによって生活リズムが狂ったことで、不登校になった人が多くなったという調査結果が発表されました。また、家庭での息苦しさが増したことや、友だちを作り友情を深める機会が減ったことも相まって孤独感を感じる生徒・児童が増え、最悪の場合自殺に至るということは、決して見過ごせない問題です。今回のパンデミックは、学校の存在意義や必要性について改めて考えさせられる機会になりました。

 

 SDGs4番「質の高い教育を」では、初等・中等教育だけでなく高等教育も含めたすべての人に質の高い教育を提供することが目標として設定されています。しかし、コロナ禍への対応の中で、通信ネットワークが整備されていなかったりパソコンなどの電子機器を持っていなかったりすることによりオンライン授業を受けることができない人の存在が浮き彫りになりました。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)報告2021」によると、コロナ禍によって世界的に教育習熟度の低下が見られるという報告がなされました(*1)。これは決して海外の問題だけでなく、わが国にもあてはまることでしょう。

 

 また、コロナ禍では運動する機会が減少しましたし、衛生面の管理の重要性も指摘されました。これらはSDGs3番「すべての人に福祉と健康を」にかかわっています。そして、オンライン授業を受けることができない人がいる環境の改善はSDGs1番「貧困をなくそう」に、通信インフラの整備はSDGs9番「産業と技術革新の基盤をつくろう」にそれぞれかかわっています。ほかにも、コロナ禍により親の仕事が失われたことで子どもが学校に通えなくなるという問題はSDGs8番「働きがいも経済成長も」に関係していますし、気候変動による食料不足で体調を壊し学校に通えないということはSDGs2番「飢餓をゼロに」や13番「気候変動に具体的な対策を」にもかかわっています。このように、教育の問題は多くの社会問題と複雑に絡み合っています。SDGsに関係する問題を解決するためには、多くの問題やその関連性を視野に入れなければならないのです。

 

 教育はSDGsを達成する鍵だと言われています。持続可能な社会を構築していくためには、すべての人が質の高い教育を受けることで、世界の現状を学び、どうすれば解決できるのを考えられるようにならなければなりません。またそれを実行するために、ほかの人と協働することが重要で、そのためのスキルは学校での友人との関係においても育まれるのです。

 

 *1…持続可能な開発目標(SDGs)報告2021 概要
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_report/