● 東日本大震災から10年(2021年3月11日の記事より)
学習者用解説
地球上の人口は増加の一途をたどっています。1950年に25億人だった世界人口は、1986年に50億人を突破、2011年に70億人を超え、現在は77億人に達しています。国連の「世界人口推計」を見ると、2050年に97億人、2100年頃には109億人に達すると推計されています(*1)。その中でも都市人口の増加が顕著です。1950年には30%に過ぎなかった都市部の人口が2018年には55%に達していて、今後さらに都市への人口集中は進むと予測されています。地方から都市への人口流入は、スラムの形成につながります。アジアやアフリカ、中南米等の大都市では、貧しい人々がスラムを形成していることも少なくありません。スラム街は犯罪や伝染病などの温床になるだけでなく、劣悪な住環境は崩壊等のリスクをはらんでいます。
また、世界中を見渡してみると公害に直面している地域も少なくありません。鉱山から有害な排水が地域の地下水を汚染させることや、工場からの煤煙が地域住人の環境被害に及んでいることもあります。わが国でも西日本を中心にPM2.5や光化学スモッグの発生によって、多くの人たちが日常生活に支障をきたしています。
一方、人間の生活は常に自然災害のリスクにさらされています。台風、洪水、高温、低温などさまざまな自然災害と対峙してきた人類ですが、特に世界各国で頻発する地震は、その被害は甚大です。わが国では、太古の昔から地震やそれが原因の津波が幾度となく国土を襲っています。記憶に新しい2011年の東日本大震災では、東北地方を震度7の地震と高さ十数メートルとも言われる津波により、多くの方がお亡くなりになりました。もちろん、わが国にとどまらず、毎年のように世界各地の大地震のニュースを聞くようになりました。
このように、私たち人類の生活を公害や災害から守る取り組みが必要不可欠となっています。SDGs11番「住み続けられるまちづくりを」は「包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」です。ターゲット11.1ではスラムの改善が盛り込まれ、11.5では、災害に対して脆弱な立場におかれている人々を減らす目標が掲げられています。注目して欲しいのは、11.bで災害からのレジリエンスを高める都市計画を推進するために、「仙台防災枠組」がその基準となっていることです。これは、2015年に仙台市で実施された「第3回国連防災世界会議」において決定された国際的な防災枠組です。災害に対するリスクの理解や防災活動への市民の参加などが示されています。
このように、公害などの都市型災害や地震などの自然災害から私たちの生活を守り、活を安全で暮らしやすいものにしなければならないのです。
*1…出典:国連人口推計
https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/33798/