【NEWSとSDGs】目標7と関連づけて考えよう!

● 脱炭素 「グリーン成長戦略」発表(2020年12月26日の記事より)

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 気候変動が私たちの生活に目に見える危機として発生しています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次報告書によると、このまま何も対策が講じられないと2100年に地球の平均気温が最大4.8℃上昇するとされています。そうすると、海水面の上昇、干ばつ、洪水などにより私たちの生活が脅かされることになります。また、海が吸収する二酸化炭素が増加することにより、海洋酸性化が進み、海洋生物へ悪影響を与えることになるでしょう。

 

 SDGsゴール13は「気候変動に具体的な対策を」です。二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を抑え、地球の気温上昇のトレンドを止めなければなりません。

 

 SDGsと同じ2015年に採択されたのが「パリ協定」です。2100年までの地球の平均気温上昇を工業化以前に比べて2.0℃以内に、そしてできるだけ1.5℃に抑えるというものです。しかし、これは容易なことではありません。発電や工業、運輸などの産業部門での二酸化炭素排出を大きく減少させていかなければなりません。そのためには、企業の取り組みや企業経営を支える金融システムが重要となってきます。「ESG投資」は環境や社会課題などに取り組む企業への投資で、いまや世界の全投資額の1/3を超える水準まで成長しています。

 

 二酸化炭素を排出しない産業に移行するために重要となるのが再生可能エネルギーです。発電、交通、製鉄などの各部門における再生可能エネルギーの普及が必須です。現在、世界全体では発電の2/3以上を石炭や石油などの化石燃料に頼っており、太陽光や風力などからの発電割合はいまだに低い状態です。しかし、再生可能エネルギー比率を高める目標設定を行う国も出てきています。日本政府も、2020年末に2050年の発電量に占める再生可能エネルギーの割合を50~60%とすることを参考値として設定しました。

 

 また、交通部門から排出される二酸化炭素も多くなっています。そこで、トラック、バスをはじめ、自家用車の電化(EV)を進める動きが加速しています。わが国も含めて2030~2035年にガソリン車の新車販売を禁止すると宣言する国や地域が多数出現してきています。

 

 しかしながら、道のりは多難です。火災や農地転換などによる森林面積減少が続いており二酸化炭素の吸収力が弱くなっています。また、途上国を中心に今後人口が爆発的に増加する国もあり、インフラ整備など化石燃料依存度の高い産業が発展する余地が多く残されています。これらの課題に対応していくために、蓄電池、二酸化炭素貯蔵、水素燃料などの新しい技術の開発と実装を急がなければなりません。もちろん、産業部門だけでなく、私たちの暮らしも二酸化炭素をできるだけ排出しない生活様式への転換をしなければならないでしょう。