【NEWSとSDGs】目標16と関連づけて考えよう!

● 大統領選挙の投稿 根拠不明でも大量拡散(2021年1月24日の記事より)

 

 

学習者用解説

 

 高校生の皆さんが普段何気なく目にするインターネット上の情報はすべて「正しい」ものでしょうか? 人は普段よく目にする情報をいったん受け入れると、その考えに沿った情報がより頻繁に入ってくるようになり、それらを「正しい」と信じてしまう傾向があります。これを「確証バイアス」と言います。先のアメリカ大統領選挙では、根拠不明の情報に基づいた「選挙不正」の投稿が非常に多かったことが新聞記事で取り上げられています。SNSでは「リツイート」や「ハッシュタグ」などで、真偽不明であっても情報が一気に拡散してしまいます。そして、多くの人がその情報を信じてしまうのです。

 

 人は生まれながらにして基本的自由を有しています。1948年に国連で採択された「世界人権宣言」では、人間には思想、意見及び表現の自由が保障されているとしています。また、国連の基本文書である「国際連合憲章」においても、人々の基本的人権と自由の実現が示されていて、現代を生きる私たちは当たり前のように情報を自由に見たり発信したりすることができるのです。

 

 情報は私たち人間を動かす大きな力を持っています。アラブ諸国が民主化を成し遂げた「アラブの春」や、欧米を中心に気候変動に対するデモが拡大したのは、インターネットを通じて若者たちに情報が広く拡散したことが影響していると言われています。しかし一方で、国家統制によって情報に自由にアクセスできない人も存在しています。

 

 SDGsターゲット16.10は「情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する」となっていて、すべての人が情報に対する自由を持たなければなりません。また、情報の自由はゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」やゴール10「人や国の不平等をなくそう」にも深くかかわっています。ターゲット9.cでは、開発途上国における情報通信環境の改善、ターゲット10.3では差別の撤廃や人々の機会均等が示されています。

 

 ゴール16のキャッチフレーズは「平和と公正をすべての人に」です。ここには情報に関する自由以外にも、暴力や搾取をなくす、テロリズムや犯罪の根絶、武器取引の大幅削減、汚職や贈賄の減少、司法への平等なアクセスなどが目標として掲げられています。このように、SDGsと直接関係がなさそうに見える社会課題や事件でも、SDGsの達成のためには不平等を解消し基本的人権を尊重することがとても重要です。そのためには、テクノロジーの進化だけでなく、世界的に注目されるニュースなどに対して倫理観や情報を見極める目を持つことがより一層求められるでしょう。世界中から不正や暴力などをなくし、平和で誰もが自由に生きられる社会を創っていかなければならないのです。