● 大阪・関西万博 開幕(2025年4月13日の記事より)
今月のニュース記事
●大阪・関西万博 開幕
大阪・関西万博が開幕する。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに10月13日までの184日間、大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」の会場で、160を超える国・地域、国際機関の参加者が展示や催事を繰り広げる。1851年のロンドンに始まる万博は、長く各国が自国の文化や産業を宣伝する場だった。だが、1990年代に入って開催意義が問い直され、世界が抱える課題の解決をめざすものに変わった。今回の会期中も、文化や平和と人権、生物多様性、SDGsなど8テーマについて、会議やビジネス交流会などを催す。日本での大規模な万博の開催は2005年の愛知に続き3回目。分断が見られる社会にあって、集い交わることで、よりよい未来へのヒントを見いだせるのかが問われる。
(ニュースダイジェスト 2025年4月13日より)
指導のポイント
「今月のニュース記事」と関連のある目標について、指導の前に押さえておいていただきたいポイントを解説しています。まずは、各目標の概要やめざすところをご確認ください。
大阪・関西万博が「夢洲(ゆめしま)」を舞台に4月13日に開幕した。160を越える国や地域などからの展示やイベントが行われ、10月13日まで開催される。
万博の統括は博覧会国際事務局(通称:BIE)という国際政府間組織が担っており、「教育」「革新」「協力」を基本的な価値観としている。また、国際博覧会条約は1928年にパリで署名され、現在は181か国が参加している。
万博の開催目的が近年変化しているといわれている。産業振興や貿易促進の手段といった当初の目的から、平和、人権、生物多様性など、地球規模の課題に対する対応などが目的となっている。
今回の大阪万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマが掲げられ、世界の人々が未来社会を作るための共創の場と位置付け、人類共通の課題解決に向けた新たなアイデアを創造し、発信する場となることをめざしている。
SDGs17番「パートナーシップで目標を達成しよう」では、AIなどの最先端技術の開発協力や、開発途上国に対する技術供与など、国際連携の強化がめざされている。しかし、これが簡単には進まない事態になってきていることも心に留めておく必要がある。国際協調と地球・社会の持続可能性の追求の両立をめざさなければならない。
学習者用解説
「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。
大阪・関西万博が4月13日に開幕しました。約160の国や地域などからの展示やイベントが行われており、10月13日まで大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」を舞台に開催されます。「万博」は1851年にイギリス・ロンドンで開催された「万国大博覧会」が発端となっています。その後世界各地で開催され、日本では、1970年の大阪万博をはじめとして今回で6回目の開催になります。
「万博」は万国博覧会の略称であり、この統括は博覧会国際事務局(通称:BIE)という国際政府間組織が担っています。博覧会国際事務局は、「教育」「革新」「協力」を基本的な価値観としています。また、国際博覧会条約が1928年にパリで署名され、現在は181か国が参加しています。
万博の開催目的が近年変化しています。当初は、産業振興や貿易促進の手段として開催されていましたが、近年では、気候変動、平和、人権、生物多様性など、地球規模の課題に対する対応などが大きなテーマとなっています。
今回の大阪万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマが掲げられ、開催コンセプトを「People’s Living Lab-未来社会の実験場-」とし、世界の人々が未来社会を作るための共創の場と位置付け、人類共通の課題解決に向けた新たなアイデアを創造し、発信する場となることをめざしています。
公式キャラクターの「ミャクミャク」はその斬新なデザインで目に留まった人も多いのではないでしょうか。赤い部分は「細胞」を表し、青い部分は「清い水」を表していて、なりたい自分を探して、いろんな形に姿を変えるところが人間に似ているということでこのようなデザインになっているようです。しかし、同時に、姿を変えすぎると元の形を忘れてしまうことがあるという警告の意味も含んでいるようです。
SDGs17番「パートナーシップで目標を達成しよう」には、資金、技術、体制といったさまざまな側面でのパートナーシップの構築が記されています。AIなどの最先端の技術を開発していくための国際協力や、開発途上国に対するさまざまな技術提供など、国際的な連携が必要不可欠になっています。しかし、これが簡単に進まない事態になってきていることは皆さんも気づいているかもしれません。わが国の社会を動かしている民主主義や資本主義が、必ずしも世界全体で求められているわけではないことに留意する必要があります。紛争や気候変動など世界規模で解決しなければならない社会課題が頻出している中、どうすれば世界各国が相互に承認し合い、助け合って地球・社会の持続可能性を追求していけるのかを深く考える必要があるでしょう。
【問いかけ例】
Q.万博を開催するメリットはどのようなことがあるだろうか?
* 国際的な知名度やイメージ向上に寄与する。また、国内外からの観光客の増加により経済効果が期待され、そのためのインフラ整備も進む。さらに、先端技術や文化を発信・交流する場となり、産業の活性化や国際協力の促進にもつながるだろう。このように多面的な角度からそのメリットを考えさせたい。
Q.万博を開催するデメリットはどのようなことがあるだろうか?
* 開催には多額の費用が必要となり、財政負担が国や自治体に重くのしかかる可能性がある。また、インフラ整備や建設による環境への影響や、開催後の施設の有効活用が難しく、無駄になることもある。さらに、期待された経済効果が得られない場合、批判や社会的不満が生じるおそれもある。同様に多面的な角度からそのデメリットを考えてもらいたい。
Q.今後の国際協力のあり方はどうあるべきだろうか?
* 現代社会では、気候変動、感染症、貧困など国境を越えた課題が顕在化している。今後は、一部の大国主導ではなく、多様な国や地域、民間団体も含めた対等なパートナーシップに基づく必要があるだろう。情報共有や技術協力を通じて、互いの強みを生かし合い、持続可能で包摂的な社会の実現をめざすために、相互理解が重要であることに気づいてもらいたい。
オリジナル資料
〈資料1〉は、「学習者用解説」と、「生徒への問いかけ例」をまとめたプリントです(A4×2枚)。〈資料2〉は、その月に取り上げるゴールに関連する「入試小論文過去問題」を紹介します。