【NEWSとSDGs】目標11と関連づけて考えよう!

● 東日本大震災から14年(2025年3月11日の記事より)

image

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 この記事を読んでいる高校生の皆さんは、2011年3月11日に発生した東日本大震災の記憶はほとんどないかもしれません。当時筆者がいた地域では揺れは感じませんでしたが、「津波予想6メートル」とインターネットニュースに表示されて目を疑った記憶が鮮明に残っています。実際はこの数倍も高い津波が町を襲い、結果として災害関連死も含めて2万2,000人以上の死者・行方不明者を出しました。その後に何度かボランティア活動で現地を訪れましたが、何年たっても決して「元には戻らない」現状と自然の力に愕然としました。発災から14年が経過した現在でも2万7,000人以上の人々が避難生活を送っています。その後も熊本地震や能登半島地震など巨大地震が絶えません。

 


 また、今年3月28日には、ミャンマー中部で巨大地震が発生。中核都市マンダレーなどを中心に死者は3,000人以上、負傷者も5,000人以上と言われています。そのほかにも世界では、2010年ハイチ、チリ、2015年ネパール、2018年インドネシア、2023年トルコ・シリアなど、世界各地でマグニチュード7.0以上の巨大地震が頻発し大きな被害をもたらしています。

 


 国連は、自然災害による人的損失、物的損害、社会的・経済的混乱を軽減するための国際的な取り組みを推進することを目的として「国連防災世界会議」を開催してきました。1994年に第1回が横浜で開催され、2005年の第2回は神戸、2015年の第3回は仙台で開催されました。その第3回の成果文書として「仙台防災枠組2015-2030」が採択されました。ここには2030年までに世界全体で目指す4つの優先行動と7つの具体的ターゲットが示されています。

 

【4つの優先順位】
 ・災害リスクの理解
 ・災害リスクガバナンスの強化
 ・レジリエンス(回復力)を高め災害リスクを軽減するための投資
 ・効果的な対応のための災害準備の強化と回復・復旧・復興に向けた「より良い復興」

【7つのターゲット】
 ・2020年から2030年には10万人当たりの災害による死者の減少を目指す
 ・同様に10万人当たりの被害者数の減少を目指す
 ・災害を直接の原因とする経済的損失を減らす
 ・保健や教育施設などの破壊を実質的に減らす
 ・災害リスク軽減戦略を策定する国を実質的に増やす
 ・発展途上国への国際協力を実質的に強化する
 ・早期警戒システムや災害リスク情報の評価を実質的に改善する

 

 SDGs11番「住み続けられるまちづくりを」のターゲット11.bには「仙台防災枠組2015-2030」に沿った総合的なリスク管理を進めていくことが示されています。わが国はもちろん、世界全体で災害に対するレジリエンスを高める必要性があるのです。