● 孤独死の8割 65歳以上の高齢者(2024年8月29日の記事より)
学習者用解説
「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。
わが国の高齢化が急速に進んでいることは皆さんもよくご存じでしょう。2022年の統計では、人口の29%が65歳以上の高齢者でしたが、2040年には35%、2050年には40%近くに達すると推定されています。
また、一人暮らしの高齢者が増加しています。65歳以上の高齢者が一人暮らしをしている割合は、1980年には男性4.3%、女性11.2%でした。しかし、2020年には男性15.0%、女性22.1%に増加しています。
そのような環境において、深刻な問題となっているのが高齢者の孤独死です。警察庁の発表によると、2024年1月から6月までの半年間に全国の警察が遺体の検視や調査を行った10万2,965人の年齢や居住の状況を調べたところ、「自宅で発見された一人暮らしの人」が約3割に当たる37,227人で、そのうちの7割以上が65歳以上の高齢者でした。また、死亡したと推定される日からの経過日数を調べると、死後1か月以上経過して発見されたケースも1割程度見られたことから、日常生活において親類や近隣者などとの交流が少ない高齢者の生活環境が明らかになりました。
SDGs10番「人や国の不平等をなくそう」のターゲット10.2では、2030年までに、年齢、性別、障害、人種や経済的状況にかかわりなく、すべての人々が社会的に包摂されることをめざしています。また、SDGs3番「すべての人に健康と福祉を」のターゲット3.8では、「すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要なときに、負担可能な費用で享受できる状態」である「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」の促進が盛り込まれています。また、SDGs11番「住み続けられるまちづくりを」では、住環境、防災、交通といった生活インフラを高齢者にとっても安全で利用しやすくすることが設定されています。
地域では、高齢者の孤独を解消しようとさまざまな取り組みが行われています。民生委員や社会福祉協議会などが、高齢者の自宅を訪問し、見守り活動を実施しています。また、公民館や市民センターなどの公共施設では、高齢者が集まって活動する機会が設けられています。しかし、このような活動に参加できない、参加したくない、もしくは、情報を知らない高齢者も存在します。どのようにして、地域における人と人との交流の機会を創り出し、多くの人に参加してもらうことで高齢者が孤独な状況に陥らないようにするのかは、地域における重要な課題の一つでしょう。