【NEWSとSDGs】目標11と関連づけて考えよう!

● トルコで地震 マグニチュード7.8(2022年2月7日の記事より)

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 2月にトルコやシリアで大きな地震が発生し、5万人以上の人が亡くなるという大惨事となりました。1995年の阪神淡路大震災では、死者・行方不明者は約6,000人、2011年の東日本大震災では約22,000人とされていることからも、今回の地震の被害がいかに大きかったかわかるでしょう。多くの建物が崩壊し、その建物の下敷きになってしまったと報道されています。過密化した都市に脆弱な住環境が重なると、このような甚大な被害につながってしまうのです。

 

 もう一つ、都市部での被害を甚大化させていると言われているのが地球温暖化です。わが国では、集中豪雨による被害が毎年のように発生するようになってしまっています。IPCC(*1)の報告書によると、地球の平均気温が産業革命の頃から1.1℃上昇しており、雨の降り方も集中化する傾向にあると指摘しています。

 

 加えて、世界では急速に都市化が進行しています。国連の関連機関の分析によると、現在世界人口の約55%が都市に住んでいて、この割合が2050年には68%に達するとしています。今後都市はますます過密になっていくことが予想されます。

 

 都市化は、災害の被害を甚大化されるだけでなく、地球環境や私たちの社会生活にも悪影響を及ぼします。大気汚染、不衛生、犯罪、交通事故といったさまざまな問題の原因となっています。

 

 SDGs11番「住み続けられるまちづくりを」では、「都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする」という目的に向かってさまざまなターゲットが設定されています。

 

 ターゲット11.bでは、「仙台防災枠組 2015-2030」に沿った取り組みが期待されています。これは、2015年に宮城県仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」で採択された災害に対する世界的な対応指針です。災害の危険性をしっかり把握して、対応することの重要性や、災害が発生した際の早急な回復が優先的に取り組むべき項目として挙げられています。また、そこには、国際協力の必要性も書き込まれていて、各国が協力して、できるだけ災害が発生しないようすること、発生しても被害を最小限に抑えるための準備をすること、早急な回復に努めることをめざしています。このことは、SDGs17番「パートナーシップで目標を達成しよう」にもつながる目標です。

 

 災害はいつ発生するかわかりません。個人や家族レベルでの防災や発生時の対策をすることは重要なことですが、社会全体で準備・対応することも重要なのです。

 

*1…IPCC(The Intergovernmental Panel On Climate Change・気候変動に関する政府間パネル)
世界各国の科学者、研究者がさまざまな角度から地球環境に関する調査研究を実行している機関