● 東日本大震災から14年(2025年3月11日の記事より)
今月のニュース記事
●東日本大震災から14年
関連死を含め1万9千人以上の犠牲者が出た東日本大震災は11日、発生から14年となった。各地で犠牲者を追悼、被災地では帰らぬ家族や同僚に心を寄せる多くの人たちの姿があった。東日本大震災は、2011年3月11日午後2時46分に発生した。三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の地震で、最大震度7を観測。沿岸部を巨大津波が襲った。警察庁によると、2月末時点の全国の死者は1万5,900人。行方不明者は2,520人。東京電力福島第一原発事故の影響で、福島県では富岡町など計7市町村に帰還困難区域が設定された。復興庁によると、全国で今なお約2万8千人が避難を余儀なくされているという。
(ニュースダイジェスト 2025年3月11日より)
指導のポイント
「今月のニュース記事」と関連のある目標について、指導の前に押さえておいていただきたいポイントを解説しています。まずは、各目標の概要やめざすところをご確認ください。
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、災害関連死も含めて2万2,000人以上の死者・行方不明者を出した。14年が経過した今でも2万7,000人以上が避難生活を送っている。その後も熊本地震や能登半島地震など巨大地震が絶えない。
また、今年3月28日には、ミャンマー中部で巨大地震が発生。死者は3,000人以上を数える。ほかにも、ハイチ、チリ、ネパール、インドネシア、トルコなど、世界各地で巨大地震が頻発し大きな被害をもたらしている。
2015年3月に「第3回国連防災世界会議」が仙台市で開催され、その成果文書として「仙台防災枠組2015-2030」が採択された。ここには災害リスクの低減やよりよい復興など4つの優先行動と、災害による死者数や被災者数を大幅に減少させるなどの7つの具体的なターゲットが示されており、防災・減災に取り組む際の世界共通の目標となっている。
SDGs11番「住み続けられるまちづくりを」は、すべての人の生活環境を持続可能なものにするゴールである。そのターゲット11.bには「仙台防災枠組2015-2030」に沿った総合的なリスク管理を進めていくことが設定されている。わが国はもちろん、世界全体で災害に対するレジリエンスを高める必要性に迫られていると言える。
学習者用解説
「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。
この記事を読んでいる高校生の皆さんは、2011年3月11日に発生した東日本大震災の記憶はほとんどないかもしれません。当時筆者がいた地域では揺れは感じませんでしたが、「津波予想6メートル」とインターネットニュースに表示されて目を疑った記憶が鮮明に残っています。実際はこの数倍も高い津波が町を襲い、結果として災害関連死も含めて2万2,000人以上の死者・行方不明者を出しました。その後に何度かボランティア活動で現地を訪れましたが、何年たっても決して「元には戻らない」現状と自然の力に愕然としました。発災から14年が経過した現在でも2万7,000人以上の人々が避難生活を送っています。その後も熊本地震や能登半島地震など巨大地震が絶えません。
また、今年3月28日には、ミャンマー中部で巨大地震が発生。中核都市マンダレーなどを中心に死者は3,000人以上、負傷者も5,000人以上と言われています。そのほかにも世界では、2010年ハイチ、チリ、2015年ネパール、2018年インドネシア、2023年トルコ・シリアなど、世界各地でマグニチュード7.0以上の巨大地震が頻発し大きな被害をもたらしています。
国連は、自然災害による人的損失、物的損害、社会的・経済的混乱を軽減するための国際的な取り組みを推進することを目的として「国連防災世界会議」を開催してきました。1994年に第1回が横浜で開催され、2005年の第2回は神戸、2015年の第3回は仙台で開催されました。その第3回の成果文書として「仙台防災枠組2015-2030」が採択されました。ここには2030年までに世界全体で目指す4つの優先行動と7つの具体的ターゲットが示されています。
【4つの優先順位】
・災害リスクの理解
・災害リスクガバナンスの強化
・レジリエンス(回復力)を高め災害リスクを軽減するための投資
・効果的な対応のための災害準備の強化と回復・復旧・復興に向けた「より良い復興」
【7つのターゲット】
・2020年から2030年には10万人当たりの災害による死者の減少を目指す
・同様に10万人当たりの被害者数の減少を目指す
・災害を直接の原因とする経済的損失を減らす
・保健や教育施設などの破壊を実質的に減らす
・災害リスク軽減戦略を策定する国を実質的に増やす
・発展途上国への国際協力を実質的に強化する
・早期警戒システムや災害リスク情報の評価を実質的に改善する
SDGs11番「住み続けられるまちづくりを」のターゲット11.bには「仙台防災枠組2015-2030」に沿った総合的なリスク管理を進めていくことが示されています。わが国はもちろん、世界全体で災害に対するレジリエンスを高める必要性があるのです。
【問いかけ例】
Q.地震の被害を最小限に食い止めるにはどんなことが必要だろうか?
* 建物・建築物の耐震化や津波対策などインフラ面の整備が求められる。また、地震予測や観測の精度を高めることも重要だろう。また、防災教育や家庭での備えなど、個人としてできることも多くある。インフラなどのハード面だけではなく、教育などのソフト面の両面での対策を考えたい。
Q.大規模な地震や津波などが発生した際に個人として何ができるだろうか?
* 発生直後は身を守ることを最優先に考えなければならない。また数時間は情報収集や安否確認などに努める必要がある。また、数日間は生活空間、環境の確保が重要になってくるうえ、もし被災が長期にわたる場合は、健康面・精神面のケアが求められてくるだろう。このように時間が経つにつれてニーズと対応が変化することを確認したい。
Q.防災を意識して普段からできることはどんなことがあるか?
* 避難場所や避難方法を事前に確認しておくことが重要となってくる。学校や地域などでは防災教育の機会を作っておくことが求められる。また、家庭では防災・避難バッグを準備しておくことも大切な行動となる。加えて、ボランティアとしての心構えなどを確認し、災害が発生した際には被災地でボランティアとして行動することもできるかもしれない。
オリジナル資料
〈資料1〉は、「学習者用解説」と、「生徒への問いかけ例」をまとめたプリントです(A4×2枚)。〈資料2〉は、その月に取り上げるゴールに関連する「入試小論文過去問題」を紹介します。