● G7広島サミット閉幕(2023年5月22日の記事より)
学習者用解説
「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。
5月に広島で先進7か国首脳会議(G7サミット)が開催されたことは、みなさんも記憶に新しいことでしょう。ウクライナのゼレンスキー大統領が突然来日したことから、テレビやインターネットでの報道も熱を帯びていたのではないでしょうか。
そもそもサミットは、経済を中心とした世界的課題について主要先進国の首脳が話し合う機会として1975年に始まりました。少し前までは「G8」として開催されてきましたが、2014年からロシアの参加が拒否され「G7」として開催されています。
今回のG7について、新聞記事ではウクライナ支援のことが中心的に扱われていますが、実は、さまざまなテーマについて話し合いが行われました。
環境面では、気候変動危機に触れ、温室効果ガス排出削減や再生可能エネルギーのようなクリーンなエネルギーへの移行や、プラスチックの削減により一層取り組むことも確認されました。
経済面では、安定した貿易やサプライチェーンを構築することがテーマとなりました。サプライチェーンとは、何か製品を製造する際に、その部品を調達したり、製造したり、製品を販売するネットワークなどの産業の全体像のことを言います。グローバル化した現代では、それが世界各地に及んでいて、局地的な問題が発生しても、世界全体に拡大することもあります。また、そのほかにも、食料の安全保障の問題、ChatGPTやAIなどのデジタル化への対応などについて話し合いがなされました。
社会面では、すべての人が等しく保健サービスを受けることができる「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」や新型コロナウイルスなどのパンデミックの対応がテーマとなりました。また、途上国やグローバル・サウス(アジアやアフリカなどの新興国の総称)との関係構築、そして、核軍縮などの平和についてのテーマも取り上げられました。
SDGs17番は「パートナーシップで目標を達成しよう」です。現在私たちが認識している社会問題や今回のG7サミットで取り上げられたテーマは、ほとんどが、世界各国の協力が必要なことです。また、SDGs16番は「平和と公正をすべての人に」です。もちろんこれも世界的な問題です。
しかし、G7はあくまでこの7か国からのメッセージにすぎません。国際問題を考える際には、一方的な方向からの視点になってはならないのです。途上国や私たちと異なった経済社会の仕組みの国のことも考えていかなければ、問題を解決するのは難しいのです。なぜなら、問題は世界中でつながっていることが多いからです。