● スーダン400万人が栄養失調(2023年4月27日の記事より)
学習者用解説
「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。
一昨年はミャンマーで軍事クーデターが発生、昨年はロシアがウクライナへ侵攻、そして今年はスーダンでの内戦が深刻な状況になってしまいました。これら以外にも、現在も多くの国や地域で武力による対立が発生しています。なぜ人間は人の命を奪うような戦争や紛争を行うのでしょうか。
SDGsの視点から戦争、紛争を考えてみます。SDGs2番の「飢餓をゼロに」には栄養不足を解消することや、子どもの良好な発育が目標として設定されています。また、SDGs1番には貧困の撲滅や、適切な社会保障制度の確立、SDGs3番には妊産婦の健康を確保することや、感染症による死者を少なくすることが書かれています。加えて、SDGs16番には紛争の停止や暴力の撲滅も書かれていますが、これらは戦争や紛争に直接的にかかわってくるSDGs目標と言えます。
しかし、それだけではありません。SDGs4番は「質の高い教育」ですが、戦争、紛争状態が長期化、常態化してしまうと、子どもたちはもちろん、大人たちも「学ぶ」機会を失ってしまいます。長い目で見た場合、そのことがその国に与える悪影響は大きいものでしょう。また、SDGs8番は「働きがいも経済成長も」です。国が戦争や紛争によって混乱している状況では、満足いく仕事などなくなってくるでしょうし、経済成長が望める状態ではなくなるはずです。
さらに、戦争や紛争はその国に限らず、世界的に影響が及んでしまいます。ウクライナ侵攻が世界的なエネルギー価格の高騰や、食料価格上昇の一つの原因であることは、皆さんも体感していることでしょう。ウクライナは小麦などの代表的な産地ですし、ロシアは天然ガスや石油の一大産地でもあります。また、ヨーロッパを中心に難民問題も深刻な状況となっています。ウクライナだけでなく、内戦や政情不安、飢餓の蔓延などのため、自国を捨てて、難民として他の国をめざす人が絶えません。難民の健康や衛生面や治安などの問題につながることもあります。このように、グローバル化した社会では、たとえ一国の出来事であっても、その影響が世界各地に及ぶのです。
国連などの国際機関は、このように最低限の衣食住さえも確保が難しくなっているような人道的な危機に置かれた人々を支援しています。そうした活動を、各国政府が財政面や人材面などで支えています。しかしながら、その支援も限界があるでしょう。戦争や紛争が起こらない社会をどのように創り上げていくのか、国際社会が協力してめざしていかなければならないのです。