【NEWSとSDGs】目標9と関連づけて考えよう!

● AIアクションサミット(2025年2月13日の記事より)

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学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 人工知能(AI)が急速に発展していることに気づかされることが多くなっています。アメリカの企業OpenAI社が「Chat GPT」を2022年11月30日に公開した際に、世界中に衝撃が走ったことを覚えているかもしれません。さらに、それからわずか2、3年間でAIは加速度的に進化しています。Microsoft社やGoogle社なども相次いで生成AIを開発し、すでに私たちが日常的に使えるようになっています。

 


 そもそも、AI、生成AIとは何でしょうか。AI(Artificial Intelligence)は、コンピュータが人間の知的な作業を模倣する技術の総称です。AIは主に「データを解析し、パターンを見つけて予測や分類を行う」ことに強みがあると言われています。それに対して生成AIは、「大量のデータを学習し、それをもとにテキスト、画像、音楽、動画、プログラムコードなどを自動生成」します。新しいコンテンツを生成する能力を持っていると言えるでしょう。生成AIを使用するメリットについて生成AIに尋ねてみると、コンテンツ制作の効率化、コスト削減、創造性の向上、個別最適化が可能、言語の壁を越えられる、という5点を挙げてくれました。

 


 一方で、生成AIは正確性、倫理面、権利保護などの観点ではリスクもあります。また軍事利用されてしまうことや、先進国と途上国の間で開発や使用の格差が生じてしまうことなど、さまざまな課題やリスクもあります。

 


 2025年2月10~11日、パリで「人工知能(AI)アクションサミット」が開催され、100を超える国や地域からの参加がありました。このサミットでは、デジタル格差の縮小、AI開発の国際枠組みの構築、AIが発展するための条件整備、AIに関する労働市場の醸成、持続可能なAIの実現、国際協力とガバナンスの強化といった点が議論されました。サミットは、「⼈類と地球のための包括的かつ持続可能な⼈⼯知能に関する声明」に60か国・地域が署名して終了しました。しかし、アメリカは、過度な規制がAI開発を妨げるとして署名を見送ったほか、イギリスも国家安全保障などの観点から署名しませんでした。

 

 また、この会議では、 AI開発とエネルギーに関する問題についても議論がされました。AIの開発と使用には、大量の電力を必要とします。IEA(国際エネルギー機関)によると、過去10年間の電力使用量は総エネルギー需要の2倍のペースで増加しており、電力需要の伸びは今後数年間でさらに加速すると見込まれています。このことは、地球温暖化をさらに加速させてしまうおそれがあります。今後はより持続可能なAI開発が必要となりますが、このサミットではAIとエネルギーについて調査を進めることになりました。

 


 SDGs9番「産業と技術革新の基盤をつくろう」では、産業インフラ開発や効率化、持続可能性の追求などが示されています。インターネットやAIはすでにインフラとして欠くことができなくなっていることは言うまでもないでしょう。より持続可能で倫理的なAI開発が求められているのです。