【NEWSとSDGs】目標11と関連づけて考えよう!

● 東京都転入超過6.8万人 一極集中加速(2024年1月31日の記事より)

 

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 東京などの大都市には、たくさんの仕事があり、多くの情報が集まり、スポーツやエンターテイメントなどの文化芸術などが集積していて、特に若い人にとっては魅力的でしょう。しかし一方で、自然を取り壊して都市が拡大していくため、環境破壊や生物の居場所を奪ってしまいます。また、多くの人が集中することによる生活環境の悪化や、大量に発生するゴミの問題、多種多様な犯罪が発生する可能性、災害が発生した際の被害が大きくなるリスクなど、さまざまな懸念点があります。また、人口を吸い上げられる地方では過疎化や少子高齢化が一段と進み、日々の生活がままならない人々が取り残されたままになってしまいます。

 

 総務省が発表した人口移動報告によると、人々の転入が転出を上回ったのは東京など7都府県にとどまり、他の40道府県は転出が転入よりも多く、人口が減少傾向にあることがわかりました。政府は数年前に「地方創生」を掲げて、地方への移住を推進しましたし、新型コロナウイルスのパンデミックによって、人々が地方へ移住する動きが見られました。しかし、依然として東京が人口を吸収し続けているという実態が改めて明らかになりました。

 


 東京の人口は、明治9年に100万人、昭和の初めに500万人、昭和37年に1,000万人を突破しており、世界屈指の大都市です。現在は1,400万人に達していて、さらに人口が増え続けているのです。

 

 世界の人口に目を向けると、産業革命前の数千年間はずっと数億人程度で推移していました。しかし、産業革命が始まった時代から人口が急増し始め、1900年に16億人、1950年に25億人、1987年に50億人を突破、現在は約80億人となっています。そして、2050年には97億人に達すると予想されています。また、それらの増え続ける人口を吸収しているのが大都市です。現在は世界人口の約55%の人が都市に暮らしていて、2050年には70%近くに達すると予想されています。このような膨れ上がる大都市は途上国にあることが多く、生活インフラの整備や社会システムの整備が追いつかず、巨大なスラム街が形成されて、劣悪な環境で生活しなければならない人も多くいるのが現状です。

 

 SDGs11番「住み続けられるまちづくりを」には、住宅や公共交通などの基本的サービスへのアクセス、都市災害の軽減、環境悪化防止など、適切な都市計画や管理を行うことが目標として掲げられています。環境との共生を図りつつ、誰にとっても住みやすい環境や社会をつくっていく努力を続けていかなければならないでしょう。