【NEWSとSDGs】目標16と関連づけて考えよう!

● 広島原爆写真 「世界の記憶」へ推薦(2023年11月29日の記事より)

 

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 SDGs16番は「平和と公正をすべての人に」です。そのターゲット16.1には「あらゆる場所において、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる」と記されており、それを評価するための指標として、「10万人当たりの紛争関連の死亡者数」「居住地域を一人で歩いて安全と感じる人口の割合」などが設定されています。また、紛争地域では、それを取材する側が被害を受けることも少なくないため「ジャーナリストや人権活動家の保護」なども指標として設定されています。

 

 国連には「安全保障理事会」があります。これは国連憲章のもとに、国際の平和と安全に主要な責任を持つ組織で、常任理事国5か国(中国、フランス、ロシア、イギリス、アメリカ)と非常任理事国10か国から構成されています。また、「核兵器の不拡散に関する条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons;NPT)」には191か国が参加していて、核兵保有国がこれ以上広がらないようにするために、世界を挙げて対策に取り組んでいます。

 

 しかし、そのような努力も空しく、世界中には、紛争・戦争が行われている地域があり、多くの人が命を落としている現実があります。長引くロシアのウクライナ侵攻、イスラエル-パレスチナ紛争をはじめ、シリア、アフガニスタン、リビア、イエメンなどは内戦状態にあり、多くの市民が巻き添えとなり命を落としています。

 

 この度、日本政府は、被爆後の広島のようすを写した写真や動画をユネスコ「世界の記憶」に推薦することを決定しました。この取り組みは「世界的に重要な記録物への認識を高め、保存やアクセスを促進すること」を目的として、2年に1回の審査を経て登録される仕組みになっています。1992年に事業が開始されてから国際登録、地域登録合わせて約550件が登録されています。国際登録は、ユネスコ世界の記憶国際諮問委員会が運営・管理し、地域登録は、世界の記憶アジア太平洋地域委員会が運営・管理しています。これまでに世界では「ハンス・クリスチャン・アンデルセンの原稿と手紙(デンマーク;1997年登録)」や「アンネの日記(オランダ;2009年登録)」といった著名な文書も登録されています。わが国に関連するものとしては、「朝鮮通信使」や「山本作兵衛炭坑記録画・記録文書」など9件が、これまでに登録されています。  

 

 今回日本政府が広島の原爆写真を推薦することは、世界で唯一の被爆国として、世界に対して反戦、核兵器の廃絶を訴える絶好の機会になるかもしれません。世界平和を実現していくために、日本は大きな役割と責任を負っているのです。