【NEWSとSDGs】目標4と関連づけて考えよう!

● 教育支援を必要とする子 世界に2億人(2023年9月4日の記事より)

 

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 日本では、義務教育と位置付けられている初等教育と前期中等教育をほとんどの人が修了します。しかし、世界を見渡してみると、中学校の学修過程を修了しない人が多数を占める国も少なくありません。例えば、サハラ以南のアフリカでは中学校の修了率は5割に満たない水準です。北アフリカ、中東などでも7割程度で、世界全体で見ると、中学校を終えられた人は8割にも満たないのです。このまま対策が行われないと、2030年には8,400万人が学校に通えず、3億人が基本的な計算と識字に問題を抱える事態になってしまうことが予想されています。(*1)

 

 どうしてこのような状態になっているのでしょうか。要因の一つに、まず気候変動が挙げられます。気候変動による洪水などで住む場所を奪われる人たちが毎年のように発生しています。干ばつや洪水に見舞われてしまうと、農作物の収穫量が激減し、自分たちの食料だけでなく、それらを販売して収入を得ることができなくなってしまいます。また、地球が温暖化することは、海の生物にも影響を与えます。海水温が上昇することで、海産物の生育に悪影響が及ぶこともあります。また、海水の酸化は、貝類の発育を妨げることが知られています。

 

 また、戦争や紛争が行われている地域では、子どもたちの教育の優先順位が下がってしまいます。教育よりも軍事費に多くの費用や人材が割かれることになるでしょう。もちろん、戦闘によって命が奪われたり、町が破壊されたりすることもあります。

 

 さらに、新型コロナウイルスのパンデミックが発生して、オンラインで学習する環境が整備されておらず、学校に行けなくなったことで学びの機会が奪われた人が多くいます。また、家庭の収入が減ったことによって学校に通わせることができなくなったということもありました。「国連SDGsレポート2022」(*2)では、世界で1億4,700万人が対面指導を受けにくくなったことなど、学習機会の喪失の危機が指摘されています。

 

 これらの問題を解決するために、まず気候変動を食い止めなければなりません。二酸化炭素やメタンなどの温暖化ガスの排出は、先進国の生活を豊かにしてきた、これまでの産業の発展の裏返しです。そして、その影響を受けているのは脆弱な立場におかれている人たちです。私たちの生活スタイルの変化が必要でしょう。

 

 戦争や紛争は、歴史、宗教、民族対立、政治など、さまざまな要因が絡み合ってしまうため、解決するのは非常に難しいと言えます。しかし、教育の機会が奪われてしまうことは、将来世代での解決も難しくしてしまうかもしれません。

 

 このように「人」を育てる教育は世界の問題を解決し、持続可能な社会を構築するために非常に重要なのです。

 

*1…https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_report/
*2…https://www.unic.or.jp/files/SDGs_Report_2022_Overview_Japanese.pdf