【NEWSとSDGs】目標13と関連づけて考えよう!

● マウイ島の火事 壊滅的な被害(2023年8月12日の記事より)

 

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 2023年の夏は世界各地で高温となりました。地球が温暖化しているうえにエルニーニョ現象が加わったことが原因だと言われています。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「地球温暖化の時代から、地球沸騰化の時代が来た」とこのような状況に警告を鳴らしています。高温によって被害を受けるのは人間だけでありません。動物や農作物にも大きな影響をもたらすのです。

 

 地球温暖化が原因の一つとなって、大規模な森林火災がカナダ、チリ、ギリシャ、ロシアなど世界各地で発生しています。そして新聞記事で取り上げられているハワイ・マウイ島で今年発生した森林火災は50人以上の人の命を奪い、建物等への被害額は数千億円にのぼると報告されています。

 

 地球温暖化が及ぼす被害は森林火災だけではありません。まず農林水産業へ大きな影響が及びます。農作物や魚の生育場所が変化しますので、これまで育たなかった品種を育てなければならなくなったり、漁獲できる魚種が変化したりと、生産者はその対応に追われています。


 地球温暖化は集中豪雨や台風の強大化など、気候に影響を与えます。近年の雨の降り方は集中・多雨傾向になっていることが研究結果から示されています。このような傾向は、洪水や地滑りなどの被害につながることが少なくありません。2023年もアフリカやヨーロッパなどで洪水の被害が報告されています。

 

 地球温暖化に歯止めをかけるために、2015年に開催された「COP21」で「地球の気温上昇を産業革命時から2℃以内、可能な限り1.5℃以内に収める努力をする」という「パリ協定」が全会一致で採択されました。政府、地方自治体、企業、教育機関、そして私たち市民がこの達成に向けて努力をしていかなければならないとされたのです。


 しかし前途は多難です。多くの国では地球温暖化の原因となっている二酸化炭素などの温暖化ガスの排出を少なくしていく計画を立てています。しかし現在の計画では温暖化に歯止めをかける効果はそれほど大きくないことが調査研究の結果わかってきました。実行力を高めるだけでなく、より強い目標を立て直すことが必要かもしれません。それは、経済や社会のあり方を大きく変革しなければならないでしょう。


 SDGs13番は「気候変動に具体的な対策を」です。気候変動は貧困や飢餓、水の枯渇、海洋生物への悪影響へつながっていきます。そしてそのことが、私たち人間の生活にも大きな影響を与えるのです。地球温暖化の進行を科学的見地から認識し、抑制するための実行力のある計画と私たち一人ひとりの行動が危機を救ってくれると信じて、早急に行動しなければならないでしょう。