【NEWSとSDGs】目標5と関連づけて考えよう!

● 男女平等ランキング 日本125位(2023年6月22日の記事より)

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 「ジェンダーギャップ指数」について聞いたことがあるという人も多くなってきたのではないでしょうか。6月に2023年度の結果が発表されました。最近はジェンダーギャップの解消に向けたさまざまな取り組みが行われていますが、わが国はスコア、ランクともに昨年より低下して、146か国中125位という結果になりました。男女の同等性は64.7%で2年連続低下しています。首位は14年連続アイスランド(91.2%)で、唯一同等性が90%を上回りました。2位ノルウェー(87.9%)、3位フィンランド(86.3%)となっていますが、4位にニュージーランド(85.6%)がヨーロッパ以外の国として上位にランクインしました。ほかにも中米のニカラグアが7位、アフリカのナミビアが8位と、例年ヨーロッパ勢が上位を独占するランキングの中に、ヨーロッパ以外の国がランクインしてきています。

 

 この指数は、「経済」「教育」「医療へのアクセス」「政治参加」の4つの分野において、それぞれにいくつかの指標が設定されていて、その結果をスコアにして提示しています。わが国は「教育」「医療へのアクセス」では高いスコアを獲得しましたが、「経済」「政治参加」では非常に低いスコアでした。女性国会議員の数や地方議会の議員数などが指標になっている「政治参加」における同等性は、世界全体では22.1%ですが、わが国は5.7%で世界138位、企業での女性管理職数やスキル形成などが指標になっている「経済」は56.1%で123位でした。この報告書では、世界的に「政治参加」のジェンダーギャップを埋めるには162年、「経済」は169年かかると報告されています。ジェンダーギャップを解消する取り組みが世界各地で行われていますが、これらはDEI(多様性、公平性、包括性;Diversity,Equity,Inclusion)と呼ばれています。多様性(ダイバーシティ)は、人の考え方、宗教、性格、性的指向、性別、障がいの有無、社会的地位、学歴、職歴等のあらゆる違いを「個性」として互いに受け入れ、尊重することです。公平性(エクイティ)とは、人々のニーズや状況に着目し、機会の公平性を追求することです。包括性(インクルージョン)とは、さまざまな個性が受け入れられ、誰もが個性を発揮して社会参加できるような環境をつくっていくことです。わが国でも、さまざまなDEIに関する取り組みが推進されていますが、世界の水準からすると必ずしも成果が出ているとは言えないかもしれません。男女平等という枠組みにとどまらずに、DEIが当たり前となる社会をつくっていかなければならないのです。