【NEWSとSDGs】目標13と関連づけて考えよう!

● COP29閉幕 途上国支援に年3,000億ドル(2024年11月25日の記事より)

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学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 2024年も世界各地で地球温暖化の影響が原因と思われる災害が相次ぎました。バングラディシュやスペインでの大規模洪水、アメリカやチリでの森林火災、オーストラリアやアフリカ諸国では深刻な干ばつに見舞われました。また、太平洋島嶼国では、海水面の上昇が人々の生活を脅かしています。

 

 2015年のCOP15(国連気候変動会議)で採択された「パリ協定」では、世界全体の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2℃以内、できれば1.5℃に抑えることが合意されました。しかし、現状の各国が国連に提出している温暖化ガス排出削減の目標値では到底達成できないと言われています。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、昨年4月に発表した第6次評価報告書で2035年までに温暖化ガス排出量を2019年比で60%削減が必要だと指摘しました。

 

 2024年11月にアゼルバイジャンの首都バクーで開催されたCOP29(国連気候変動会議)では、進捗が遅れていた途上国への資金提供目標が合意に至りました。これは、先進国は2035年までに年3,000億ドル(約45兆円)の途上国支援の資金を拠出することや、官民で1.3兆ドル(約200兆円)の投資を呼びかけることなどです。しかし、昨年のCOP28で合意された「化石燃料からの脱却」については、内容を確認するにとどまり、強化に向けた行動は先送りされることになりました。

 

 私たちの暮らしや産業が化石燃料から脱却するためには、再生可能エネルギー比率を高めていくことが必要です。COP28では「2030年までに世界全体で再生可能エネルギーを3倍にし、エネルギー効率を2倍にする」ことが合意されています。わが国でも政府が検討を始めた第7次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギー比率を高めていくことが議論されています。

 

 また、温暖化ガスは二酸化炭素だけではありません。メタンは二酸化炭素の約25倍の温室効果があると言われています。2021年のCOP26でアメリカとEUが主導して2030年までにメタン排出量を2020年レベルと比較して30%削減することが提案され、多くの国が合意しました。今後の取り組みを注視する必要があるでしょう。

 

 SDGs13番「気候変動に具体的な対策を」では、気候変動対策を国別の政策、戦略および計画に盛り込むことや、気候変動に関する教育、啓発などを行うことが設定されています。しかし、温暖化対策に否定的な政治家が台頭していることや、世界各地で戦争が勃発していることなど、数々の障壁があります。世界各国共通の問題である気候変動に対して、それらを乗り越えていくために国際社会の連帯が問われていると言えるでしょう。