● 女性登用の数値 目標達成は半分以下(2020年11月21日の記事より)
学習者用解説
SDGs5番「ジェンダー平等を実現しよう」では差別のない社会の構築をめざしています。 しかし、わが国ではジェンダー平等社会が進んでいると言い難い状況です。世界経済フォーラム(World Economic Forum)は2006年から「Global Gender Gap Report 2020」を発表しています。わが国はグローバルランキングで121位と低位にとどまっています。このランキングは、「教育」「健康」「政治」「経済」の4つの分野での男女差を数値化しています。わが国は特に「経済」の分野では0.598(1=差がない)と男女差が目立ち、「政治」の分野においては0.049と最低水準となっています。
経済の分野においては、「M字カーブ」の問題が大きいと言えます。女性の年齢階級別の労働力率を示したグラフでは、30~39歳レンジの女性の労働力率が低くなります。まさに、出産を機に労働市場から一時「退室」をしなければならないほど、女性にとっては継続して働きにくい環境になっていることがうかがえます。
「政治」の分野では、わが国では女性の政治家が非常に少ない状況があります。諸外国に目を向けてみると、ドイツ、ニュージーランド、フィンランド等は女性トップがリーダーシップを発揮していますし、フランスやスペインでは閣僚のうちの約半数が女性です。その他の分野でも女性比率が少なくなっていることも多く、わが国の「ジェンダーギャップ」を小さくしていくための更なる積極的な取り組みが求められます。
また、児童婚姻や人身売買などの問題の解消もSDGs5番のターゲットとなっています。途上国や紛争地域では、「口減らし」や労働力確保のために未成年のうちから嫁がされたり、売られたりしていく子どもが後を絶ちません。これらの状況は、決してその国・地域に限定された問題ではなく、私たちの生活につながっていることもあるのです。世界が協力して取り組むべき問題だと言えるでしょう。
SDGs5番はLGBTにも言及しています。L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシャル)、T(トランスジェンダー)のことを指します。しかしこれにとどまらず、Q(クエスチョニング)やI(インターセックス)など、数多くの性的志向が存在すると言われています。性的マイノリティは人口の10%を占めるという統計もありますが、社会的認知が進んでいるとは言い難い状況ではないでしょうか。学校や会社で「生きづらさ」を感じている人も多いのです。この問題も、社会が一体となって認知・改善を進めていくことが重要でしょう。