目標13と関連づけて考えよう!

●COP30閉幕(2025年11月24日の記事より)

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今月のニュース記事

 

●COP30閉幕


ブラジル北部のベレンで開かれていた、温暖化対策を話し合う国連の気候変動会議(COP30)が、22日、閉幕した。当初の会期を延長して交渉が行われたが、80か国以上が求めた化石燃料からの脱却に向けた工程表の策定は、産油国の反対などもあり合意文書には盛り込まれなかった。主な合意内容は、各国の温室効果ガスの排出削減の強化や、2035年までに途上国への防災対策強化資金を世界全体で3倍に増やすことなど。アメリカのトランプ政権が高官を送らないなどの逆風も吹き、全会一致が原則の交渉の難しさも見えた。次回のCOP31はトルコ、再来年のCOP32はエチオピアで開催されることも正式に決定している。

 

(ニュースダイジェスト 2025年11月24日より)

 

 

 

指導のポイント

 

 「今月のニュース記事」と関連のある目標について、指導の前に押さえておいていただきたいポイントを解説しています。まずは、各目標の概要やめざすところをご確認ください。

 

 ブラジル・ベレンで開催されたCOP30では、化石燃料の段階的削減について明確な決定を見ることはできなかったものの、気候変動対応と防災資金の強化について前進を見ることができた。2035年までに気候対策資金を年間1.3兆ドルに拡大し、途上国への防災対策強化などの適応分野における資金を3倍に増額することに合意したのである。これはSDGs13番「気候変動に具体的な対策を」やSDGs11番「住み続けられるまちづくりを」、SDGs1番「貧困をなくそう」への貢献に直結している。加えて、防災に関する共通指標を導入し、適応度を評価・強化する仕組みが整備された。これはSDGs2番「飢餓をゼロに」や、SDGs6番「安全な水とトイレを世界中に」とも深く関連しており、高校教育においても、科学的データを用いた実証的授業が可能である。例えば、気候変動に関するデータであれば、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が出している報告書、貧困に関するデータであれば、世界銀行による調査などを参考にできる。


 
 さらに、「グローバル・インプリメンテーション・アクセラレータ」や「1.5℃ベレン・ミッション」など、新たな支援イニシアティブが立ち上がり、技術移転や資金調達の具体策が強化される方向にある。これらはSDGs7番「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」やSDGs17番「パートナーシップで目標を達成しよう」の教材として取り上げることもできる。

 

 化石燃料の段階的廃止に向けたロードマップについて合意が不十分だった課題をふまえ、授業では、これらSDGsの各目標とCOP30の成果・課題を関連付け、「持続可能な地球社会を実現していくには何が必要か」を討論することや、課題解決型学習への展開が可能だろう。

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 2025年12月、ブラジル北部の都市ベレンで国連の気候変動会議「COP30」が開催されました。この会議は、地球温暖化を防ぐために世界各国が集まり、対策を話し合う場です。今回の会議では、地球温暖化につながる化石燃料の段階的な廃止について明確な合意はできませんでしたが、重要な前進もありました。

 

 まず注目すべきは、途上国への気候災害への対策資金や気候変動対策のための資金を大幅に増やすことが決まった点です。2035年までに世界全体で資金を3倍にするという目標が掲げられました。これは、気候変動による洪水や干ばつなどの災害が増える中、特に被害を受けやすい国々を支援するためのものです。この取り組みはSDGs13番「気候変動に具体的な対策を」に直結しています。また、防災力を高めることはSDGs11番「住み続けられるまちづくりを」にもつながります。

 

 さらに、会議では防災に関する共通の指標を導入し、各国がどれだけ適応できているかを評価する仕組みも整えられました。これは、災害に強い社会をつくるための科学的な取り組みであり、SDGs6番「安全な水とトイレを世界中に」やSDGs2番「飢餓をゼロに」にも関係します。なぜなら、気候変動は水資源や食料生産に大きな影響を与えるからです。

 

 しかし、ここで忘れてはいけないのは、地球の気候システムが「ティッピングポイント」に近づいているという事実です。ティッピングポイントとは、ある限界を超えると気候変動が急激に進み、後戻りできなくなる状態のことです。例えば、氷床の融解や森林破壊が進むことで、温暖化が加速し、私たちの努力では止められなくなるおそれがあります。この危機感はSDGs15番「陸の豊かさも守ろう」にも深くかかわります。

 

 一方で、化石燃料の段階的廃止に関する具体的なロードマップについて合意できなかったことは大きな課題です。これはSDGs7番「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」にかかわる重要なテーマです。再生可能エネルギーの普及や技術革新を進めることが、今後の国際社会の大きな課題となります。

 

 高校生の皆さんにとって、この会議は遠い世界の話ではありません。気候変動は私たちの生活に直接影響しています。異常気象による農作物の不作や水不足は、日本でも起こり得る問題です。SDGsは「誰一人取り残さない」ことをめざしていますが、そのためには一人ひとりが行動することが必要です。省エネや資源の再利用、地域での防災活動など、身近なところから始められることはたくさんあります。

 

 COP30の成果と課題、そしてティッピングポイントの危機を学ぶことで、私たちは「持続可能な社会」をどう実現するかを考えるきっかけを得ることができるでしょう。

 

 

【問いかけ例】

 

Q.化石燃料の段階的廃止に向けた合意はなぜ難しいのだろうか?
* COP30で化石燃料の段階的廃止に関する明確な合意ができなかった背景には、産油国の経済的依存やエネルギー安全保障の問題があると考えられる。SDGs7番や13番との関係を考えながら、国際交渉の複雑さや公平性について議論させたい。

 

Q.ティッピングポイントとは何だろうか?
* ティッピングポイントとは、地球の気候システムがある限界を超えると、急激な変化が起き、元に戻せなくなる状態を指す。氷床融解や森林破壊が進むと、温暖化が加速し、それを抑制するためにさらに温暖化ガスを排出しなければならなくなる。例えば、気温の上昇に伴ってエアコン稼働時間が長くなり、電気の使用量が増えることで、その電気をつくるために温室効果ガスの排出が増える、といったことである。私たちの努力ではこのループを止められなくなる可能性がある。その危険性を検討させるとともに、どうすればそれを止めることができるのか考えさせたい。

 

Q.気候災害への対策資金の増額はどのような意味を持つのか?
* COP30では途上国への気候資金を2035年までに3倍に増やすことが合意された。これは気候変動による災害リスクが高まる中、脆弱な国々を支援するためである。支援については、災害の可能性を最小化するための「緩和」と、災害の影響をできる限り弱める「適応」の両面の対策が必要である。どのように資金援助をすれば公平性や持続可能性を担保できるかを考えさせたい。

 

オリジナル資料

 

 〈資料1〉は、「学習者用解説」と、「生徒への問いかけ例」をまとめたプリントです(A4×2枚)。〈資料2〉は、その月に取り上げるゴールに関連する「入試小論文過去問題」を紹介します。