SDGsの達成度について考えよう!

●SDGs達成状況 政府報告書(2025年6月11日の記事より)

●SDGs達成度ランキング 日本19位(2025年6月25日の記事より)

 

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今月のニュース記事

 

●SDGs達成状況 政府報告書

SDGs(持続可能な開発目標)の達成状況を政府自らが検証し、各国と共有するための「自発的国家レビュー(VNR)報告書」をまとめた。メーカーなど事業系から出る食品ロスが8年前倒しで半減したことや、約67%の自治体がSDGsを通じた課題解決に取り組んでいることなどを成果としている。子どもの貧困率が11.5%に低下した点や、社会課題の解決に投資するサステナブルファイナンスの残高が2024年は約626兆円に拡大した点も好事例とした。これまでも遅れが指摘されてきたジェンダー平等は、「克服すべき課題」だ。毎年発表されるジェンダーギャップ指数でも、146か国中118位(2024年版)と低迷が続いており、主要先進国の中でも男女の賃金格差が大きいという。教育の質にかかわる課題や、国内人権機関の必要性なども指摘された。

(ニュースダイジェスト 2025年6月11日より)

 

●SDGs達成度ランキング 日本19位

国連と連携する国際的な研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が、各国のSDGs達成状況をまとめた「持続可能な開発リポート 2025」を発表した。日本は昨年より一つ順位を下げて19位となったが、欧州以外の国ではトップだった。全体ではフィンランドが5年連続で1位。日本は「持続可能な農業」(目標2)、「ジェンダー平等」(目標5)、「責任ある消費と生産」(目標12)、気候変動対策(目標13)、海の環境保全(目標14)、陸の環境保全(目標15)において、「深刻な課題がある」とされる最低評価となった。また、これまで達成済みとされていた「産業と技術革新」(目標9)の評価が2段階下がった。

(ニュースダイジェスト 2025年6月25日より)

 

 

 

指導のポイント

 

 「今月のニュース記事」と関連のある目標について、指導の前に押さえておいていただきたいポイントを解説しています。まずは、各目標の概要やめざすところをご確認ください。

 

 日本政府が発表したSDGsの進捗状況に関する「自発的国家レビュー(VNR)」や、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク が発行した「持続可能な開発リポート2025」によると、わが国におけるSDGsの進捗は、食品ロス削減やこどもの貧困率の改善など、前向きな成果が示される一方で、ジェンダー平等や環境保全など多くの分野で課題が残されていることが明らかになっている。特に、ジェンダーギャップ指数の低迷や地方におけるSDGs推進の格差は、生徒にとって身近な問題として捉える必要がある。

 

 教育現場では、SDGsを単なる知識として教えるのではなく、生徒自身が「自分ごと」として考え、行動に移す契機とすることが重要である。例えば、学校内での食品ロス削減活動、ジェンダーに関する意見交換、地域の環境保全への参加など、身近な実践を通じてSDGsの理解を深めることができるだろう。また、SNSや授業を通じて情報を発信・共有する力を育むことも、社会を変える一歩となる。

 

 SDGsは「誰一人取り残さない」社会の実現をめざしており、その達成には若い世代の主体的な関与が不可欠である。教師はその導き手として、生徒の気づきと行動を促す教育を展開すべきである。もちろん、SDGsの期限となっている2030年を迎えても、そのような教育は必要であり続けるだろう。

 

 

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 日本政府はSDGs進捗状況をまとめた「自発的国家レビュー(VNR: Voluntary National Review)」を発表しました。このレビューでは、いくつかの成果と課題が明らかにされています。

 

 まず、食品ロスの削減では、メーカーなど事業系から出る廃棄が目標より8年も早く半減されました。これは、企業の努力と技術革新の成果といえるでしょう。また、全国の約67%の自治体がSDGsを活用して地域課題の解決に取り組んでいることも、社会全体の意識の高まりを示しています。子どもの貧困率が11.5%に低下したことや、社会課題に投資する「サステナブルファイナンス」が625兆円に達したことも、前向きな変化です。

 

 しかし、課題も多く残されています。特に、「ジェンダー平等を実現しよう」(SDGs5番)は、克服すべき重要なテーマです。日本は2025年のジェンダーギャップ指数で1148か国中118位と低迷しており、男女の賃金格差が大きいことが指摘されています。また、国際的なSDGs達成度ランキングでは、日本は19位となりました。欧州以外ではトップですが、「持続可能な農業」(SDGs2番)、「ジェンダー平等」(SDGs5番)、「責任ある消費と生産」(SDGs12番)、気候変動対策(SDGs13番)、海の環境保全(SDGs14番)、陸の環境保全(SDGs15番)で最低評価を受けています。

 

 さらに、日本のSDGs進捗において、少子高齢化も深刻な課題の一つです。高齢者人口の増加と出生率の低下により、労働力不足や社会保障の持続可能性が問われています。これは「人や国の不平等をなくそう」(SDGs10番)や「働きがいも経済成長も」(SDGs8番)に直結する問題です。

 

 また、もう一つの課題として、地方のSDGs推進の格差が挙げられます。都市部に比べて地方では情報や資源が限られ、SDGsの取り組みが十分に浸透していない地域もあります。これは「住み続けられるまちづくりを」(SDGs11番)や「パートナーシップで目標を達成しよう」(SDGs17番)の観点から改善が求められています。

 

 このように、SDGsの現状を知ることは、私たちが未来をどう生きるかを考える第一歩です。高校生の皆さんにとって、SDGsは遠い世界の話ではありません。例えば、学校での食品ロス削減活動や、ジェンダーについての議論、地域の環境保全活動など、身近なところから行動を始めることができます。

 

 また、情報を正しく理解し、周囲と共有することも大切です。SNSでの発信や、学校の授業での意見交換を通じて、SDGsの課題を「自分ごと」として捉えることが、社会を変える力になります。

 

 SDGsは「誰一人取り残さない」ことをめざしています。そのためには、若い世代の皆さんが、現状を知り、考え、行動することが不可欠です。未来をつくるのは、今を生きる私たち自身です。

 

 

 

【問いかけ例】

 

Q.なぜ日本はジェンダーギャップ指数で低い順位にとどまっているのか?
* ジェンダーギャップ指数の日本の順位が148か国中118位という事実は、単なる統計ではなく、社会構造や文化的背景、教育、雇用制度など多くの要因が関係している。生徒には、身近な学校生活や家庭での役割分担などを振り返りながら、ジェンダーに関する固定観念や制度的な課題について考察してもらいたい。


Q.都市部と地方でSDGsの取り組みに差があるのはなぜだろうか?
* この問いは、SDGs11番「住み続けられるまちづくりを」やSDGs17番「パートナーシップで目標を達成しよう」に関連する。情報や資源の格差、人口減少、若者の流出など、地方が抱える課題は多岐にわたる。生徒には、自分の住む地域の状況を調べ、どのような取り組みが可能かを考えることで、地域社会への関心と主体性を育むきっかけとなる。

 

Q.SDGsは「世界を変える力」になるだろうか? それとも単なる理想にすぎないのか?
* SDGsは「誰一人取り残さない」ことを掲げ、国際社会が協力して持続可能な未来をめざす枠組みであるが、実際には達成が困難な目標も多く、国や地域によって取り組みの差が大きい。生徒には、SDGsが理想論にとどまらず、現実の社会にどのような影響を与えているのかを調べ、評価する視点を持ってもらいたい。

 

オリジナル資料

 

 〈資料1〉は、「学習者用解説」と、「生徒への問いかけ例」をまとめたプリントです(A4×2枚)。〈資料2〉は、その月に取り上げるゴールに関連する「入試小論文過去問題」を紹介します。