● SNS偽情報の認識 実態調査(2025年5月14日の記事より)

今月のニュース記事
●SNS偽情報の認識 実態調査
交流サイト(SNS)での流布が社会問題化している偽・誤情報の認識に関する初の実態調査の結果を総務省が発表した。実際にあった15種類の偽情報のうち、一つでも見聞きしたうえで「正しい情報だと思う」「おそらく正しい情報だと思う」と誤認した人は計47.7%に上り、多くの利用者が「嘘」とは気づかずにだまされる実態が明らかになった。偽情報を拡散した理由で最も多かったのは「驚きの内容だった」の27.1%だった。「興味深いと思った」や「他の人にとって有益だと思った」といった回答も20%を超え、直感的に反応したようすがうかがえる。同省は、異なる情報の有無の確認や、拡散する前に「間違いではないか」と疑う姿勢が重要だとして、理解力を高めるための呼びかけを強める考えだ。
(ニュースダイジェスト 2025年5月14日より)
指導のポイント
「今月のニュース記事」と関連のある目標について、指導の前に押さえておいていただきたいポイントを解説しています。まずは、各目標の概要やめざすところをご確認ください。
総務省が発表したSNSにおける偽・誤情報の実態調査結果によれば、偽情報を「正しい」と誤認した人が約47%に上ったことが報告されている。高校教育においてこのニュースを活用することは、デジタル市民としての責任や批判的思考力の育成に直結するため、SDGs4番「質の高い教育をみんなに」と関連する。
授業などでこのニュースを取り上げる際は、実際の偽情報の例を使って生徒同士で「正誤判定」を行い、その理由を議論させるワークなどが有効だろう。その過程で、情報の信頼性をどう見極めるか、発信者の意図やメディアリテラシーの必要性について考えさせることができる。また、「なぜ人は誤情報を信じ、拡散してしまうのか」という心理的側面にも触れることで、単なる情報分析だけでなく、社会的・感情的な側面への理解も深めることが可能となる。
さらに、偽情報による社会的な影響(例:健康、選挙、災害時の混乱など)を調べさせる中で、SDGs16番「平和と公正をすべての人に」のターゲット16.10(情報への公共アクセスと基本的自由の保障)とのつながりも探らせることで、現実社会との接続がより明確になると考えられる。
このような活動は、生徒が「真実とは何か」を自ら問う力を養い、デジタル時代における責任ある市民としての姿勢を育む一助となるだろう。
学習者用解説
「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。
SNSは私たちが情報を得たり、友人とつながったりする大切な手段となっています。しかし、その便利さの裏には、「偽情報(フェイクニュース)」や「誤情報」が広がるという深刻な問題があります。2025年5月に発表された総務省の調査によれば、実際に広まっていた15種類の偽情報のうち、一つでも「正しい」と思って信じてしまった人が47.7%もいたことが明らかになりました。つまり、約2人に1人が偽の情報にだまされたということです。
この問題は、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」のターゲット4.7(持続可能な社会のための教育とグローバル市民性)と深く関係しています。このターゲットでは、「持続可能な開発に貢献するための知識と技能をすべての人が身につけること」がめざされています。私たちが日々受け取る情報の真偽を見分ける力(=メディアリテラシー)も、持続可能な社会づくりに欠かせない力の一つなのです。
また、この問題は目標16「平和と公正をすべての人に」中のターゲット16.10(情報への公共アクセスと基本的自由の保障)にも関連しています。正しい情報が広がらなければ、社会の中での公平な判断や意思決定ができません。選挙、環境、災害、ワクチン接種など、私たちの生活に直結する間違った情報が広まることで、大きな混乱や被害が起きる可能性もあります。では、私たちは普段からどんなことを意識して行動すればよいのでしょうか。
まず、SNSやニュースを見たときには「この情報は本当に正しいのか?」と一度立ち止まって考えることが大切です。出典が明記されているか、他の信頼できるメディアでも同じことが報じられているかを確認しましょう。驚くような内容や感情を揺さぶるような言葉が使われている情報ほど、冷静に判断する姿勢が求められます。
また、「自分が広める側になる」ことの責任も忘れてはいけません。情報を拡散する前に、「これが本当に役に立つか」「誰かを傷つける可能性はないか」をよく考えてから行動することが大切です。
学校の授業でも、こうした実際のニュースを題材に、「何を信じ、どう判断するか」を考える学習をすることができます。たとえば、グループでニュースを検証し合う活動や、フェイクニュースと正しいニュースを見分けるワークなどが効果的です。
偽情報に惑わされない力を身につけることは、単に「だまされないようにする」ためだけでなく、正しい情報をもとに行動し、社会に前向きな影響を与える「責任ある市民」として成長することにもつながります。情報を鵜呑みにせず、常に批判的に考え、他者を思いやる心を持って行動することが、SDGsのめざす持続可能な社会の一員として私たちが果たすべき大切な役割だと言えるでしょう。
【問いかけ例】
Q.最近「本当かな?」と思った情報はあるだろうか? また、それをどう判断したか?
* 生徒の実体験に根ざした振り返りを促すことで、メディアリテラシーを「自分ごと」として考えるきっかけになる。単なる知識ではなく、日常生活でどのように情報を受け取り、評価しているかを見直すことで、判断力や批判的思考力を育てることができるだろう。また、この問いをグループで共有することで、多様な視点や判断基準の存在にも気づく機会とすることができる。
Q.もしあなたが偽情報を広めてしまったと気づいたら、どのように対応すべきだろうか?
* 生徒に「情報発信者」としての責任を考えさせることが重要である。情報を広める行為が他者に与える影響や、間違いに気づいた後の対応(削除、謝罪、訂正の共有など)を具体的に想像させることで、倫理的な判断や社会的責任について深く考える機会になるだろう。
Q.なぜ人は偽情報を信じたり、拡散したりするのだろうか?
* 単に事実と虚偽を見分ける力だけでなく、人間の感情や心理、認知の偏りについても考えさせる深い学びにつながる。「驚き」「共感」「不安」「同調」など、感情に基づいた反応が情報の判断にどう影響するかを探ることで、冷静さと内省力を養うことができるだろう。心理学や社会学との教科横断的な学びにも展開できる。
オリジナル資料
〈資料1〉は、「学習者用解説」と、「生徒への問いかけ例」をまとめたプリントです(A4×2枚)。〈資料2〉は、その月に取り上げるゴールに関連する「入試小論文過去問題」を紹介します。