【NEWSとSDGs】目標8と関連づけて考えよう!

● 外国人労働者 過去最多230万人(2025年1月31日の記事より)

image

 

学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 最近、コンビニエンスストアやレストラン、ファストフード店などで、外国人の労働者を見かけることが多くなったと感じている高校生の皆さんも多いのではないでしょうか。厚生労働省の調査によると、外国人労働者数は2013年以降増加を続けていて、2024年10月末時点で過去最高の230万人を記録しました。前年比12.4%増と急速にその数を伸ばしています。出身国は、ベトナム、中国、フィリピン、ネパールなどで、東南アジア諸国からの受け入れが大半を占めています。

 

 この増加の背景には、2019年に創設された「特定技能」制度があります。これは、「外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野」である介護、建設、宿泊、外食業などにおいてその人手不足解消のために設けられました。この制度は「特定技能1号」と「特定技能2号」に分けられます。前者は「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」で、16の分野があり、更新制で最大5年までという期限や試験による日本語レベルの確認などが設定されています。後者は「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」で、熟練労働者の確保につながります。11分野、更新回数の制限がない、家族の帯同が認められる場合がある、などの特徴があります。

 

 また、この特定技能制度につながる「育成就労」制度の創設も予定されています。これは、同種の職種を母国で経験しているか、学校等でその職種の勉強をしているか、という前職要件がありますが、日本語能力の有無は問われていない分野が多くあります。そして、原則3年間の育成就労をもって「特定技能1号」につなげることがめざされています。

 

 しかしながら、長く実施されてきた「外国人技能実習制度」はさまざまな問題が顕在化しました。不当な労働環境を強いられたり、給与が著しく低かったりすることなどが原因で失踪する外国人が増えてしまったのです。これらの問題を解消するためにも、特定技能制度や育成技能制度がしっかりと根付くことが重要でしょう。

 


 一方で、外国人労働者を受け入れるメリットも多くあります。企業として人件費が比較的抑えられます。また、急増する外国からのインバウンド観光客などへの対応がスムーズになることも考えられます。加えて、外国人労働者がいることで職場の多様性が確保されるとともに、国際貢献につながるという側面もあるでしょう。

 

 SDGs8番「働きがいも経済成長も」のターゲット8.8には、移住労働者への適切な労働環境の確保が示されています。また、SDGs10番「人や国の不平等をなくそう」の10.2では、すべての人々の経済的な包含等がターゲットとして設定されています。

 


 わが国では人口減少により労働人口が減少することが予想されています。外国人労働者を数多く受け入れていく際に、言葉の壁や犯罪・失踪といったトラブルを克服し、どのようにして共生できる社会を築いていくかが課題となるでしょう。