【NEWSとSDGs】目標16と関連づけて考えよう!

● 日本被団協 ノーベル平和賞受賞(2024年12月11日の記事より)

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学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 ノーベル平和賞は、世界平和の促進や安定に大きく貢献した個人や団体に与えられる賞です。2024年に日本原水爆被害者団体協議会(以下、被団協)がこの賞を受賞しました。日本人としては1974年に佐藤栄作元総理大臣が受賞して以来、50年ぶりの受賞となりました。

 


 被団協は、各都道府県にある広島・長崎の原爆被爆者団体の全国協議会で、1956年に発足しました。「ふたたび被爆者をつくらないために」という願いのもと、核兵器廃絶と原爆被害への国家補償要求、被爆者対策の充実など精力的な活動を行っています。

 


 一方で、世界を見渡してみると紛争・戦争がなくなりません。ロシアのウクライナ侵攻、イスラエル=パレスチナ紛争、ミャンマーやスーダンの内戦など、現在でも世界各地に戦火が見られます。

 


 1970年、国連は「核兵器の不拡散に関する条約」を発効しました。これはアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5か国を「核兵器国」と定めて、それ以外への核兵器の拡散を防止するものです。また、発電や医療など原子力の平和利用の促進が定められています。しかし、核保有国以外での核開発疑惑や、締結外の国で核実験が実施されるなど、その効力がしっかりと発揮されているとは言えない状況です。加えて、2017年に国連で採択された「核兵器禁止条約」は、核兵器の開発・実験・製造やそれによっての威嚇、使用が禁止されています。しかしこの条約に日本は参加していません。世界で唯一の被爆国として、核兵器の開発や使用を止めていかなければならない立場にある日本は、その役割をしっかりと果たしているとは言えないでしょう。

 


 SDGs16番「平和と公正をすべての人に」のターゲット16.1には、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させるターゲットが設定されています。そのほかにも、法の支配の促進、組織犯罪や汚職の撲滅などが目標になっていて、平和の実現と公正な社会を生みだすことにより戦争のない安定した世界を作りあげることが求められています。

 


 気候変動、自然破壊、貧富の差拡大、AIの進化、各国での極右政党の台頭など、世界情勢は不確実性が高まっています。そして、戦争、紛争では多くの人命が奪われ、核兵器が使われると一瞬にして人類が滅亡する可能性もあります。人間社会の持続的な繁栄を実現するためにも、今回のノーベル平和賞受賞が世界平和の実現に向けた足掛かりになることを期待したいものです。