● プラスチックごみ汚染原因 インドが最多(2024年9月5日の記事より)
学習者用解説
「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。
プラスチックごみは深刻な環境汚染につながります。イギリスの大学の調査では、大量のプラスチックが適切に処理されずに環境中に排出され、そのうち43%が未回収で放置されていることがわかりました。プラスチックは、自然分解するのに400~1000年かかると言われているので、長期間にわたって環境だけでなく、生物にも悪影響を及ぼし続けるのです。
海洋などに放出したプラスチックが波の力などで砕け、5㎜以下の大きさになったものは「マイクロプラスチック」と呼ばれています。魚や鳥が誤って食べてしまい、死に至ってしまいます。それだけでなく、食物連鎖によって人間の体内に取り込まれていることも、最近の研究からわかってきています。つまり、使用済みのプラスチックを適切に回収することがこれらの汚染や被害を食い止める第一歩なのです。
しかし、プラスチックの回収は簡単ではありません。例えば、ペットボトルの回収率を見ると、日本は94.4%とかなり高いのですが、欧州では約55%、アメリカでは30%程度にとどまっていて、途上国ではもっと低いと想定されます。確実に回収してリサイクルなど資源化する取り組みがとても重要です。
それでは、リサイクル率はどうなっているのでしょうか。これもわが国は86.9%と世界的に見ても非常に高くなっています。しかし、そのうち半分以上は「サーマルリサイクル」といって、廃プラスチックを燃やした廃熱を利用するリサイクルになります。この方法は二酸化炭素を排出してしまうので、環境にとってはよいものとは言えません。また、約6%は埋め立てされています(*1)。
プラスチックごみの問題は、さまざまなSDGsにかかわります。SDGs14番「海の豊かさを守ろう」、12番「つくる責任つかう責任」、6番「安全な水とトイレを世界中に」、7番「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、15番「陸の豊かさも守ろう」などです。この問題を解決することで、多くのSDGsが達成の方向に向かうでしょう。
この問題を解決するために、研究開発が進んでいます。最近では、自然環境の中で分解する「生分解性プラスチック」や、プラスチックを分解する微生物に関する研究が行われています。また、代替品の活用も進んでいます。カフェなどでプラスチックのストローが紙やステンレスなどの素材に代わっているのを見かけることも多くなってきました。
研究開発だけでなく、私たち一人ひとりの生活から見直すことも大事です。プラスチックの活用について、これまでReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の「3R」が推進されていましたが、Refuse(リフューズ)、Repair(リペア)、を加えた「5R」の推進が求められるでしょう。
*1…一般社団法人 プラスチック循環利用協会
https://www.pwmi.or.jp/column/column-2358/