【NEWSとSDGs】目標13と関連づけて考えよう!

● 太平洋・島サミット閉幕 首脳宣言発表(2024年7月19日の記事より)

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学習者用解説

 

 「今月のニュース記事」を学習者用にかみ砕いて解説しています。

 

 「太平洋諸島フォーラム(Pacific Islands Forum:PIF)」は、1971年に開催された南太平洋フォーラムが、その発展に伴い2000年に名称を変更したものです。加盟国は、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィジー、サモアなど、16か国および2地域に及びます。その目的は、加盟国が直面する問題や課題に対処し、共通の目標を追求するために協力と連携を促進することです。2022年にPIFは「2050年戦略」を制定しました。これは、大きく7つのテーマがあります。(1)政治的リーダーシップと地域主義(2)人を中心とした開発(3)平和と安全保障(4)資源と経済開発(5)気候変動と災害(6)海洋と自然環境(7)技術と連結性、以上を戦略7分野として推進しています。わが国もこの取り組みに対して、資金や人材の援助を行うことになっています。特に最近では、気候変動に焦点が当てられるようになっています。では、気候変動と島嶼諸国との間にはどのような関係があるでしょうか。

 


 気温上昇は水温上昇を招きます。水温が上昇すると熱膨張により海水面が上昇します。ほかにも氷河の氷が融けるとその水が海に流れ込むことによって海水面が上昇します。このようにして、海水面が上昇することで、海抜が低い場所に平地が多い島国は、人が住む場所を奪われる危機に瀕しています。また、海洋は排出された二酸化炭素の約1/4を吸収する機能を持っていますが、排出される二酸化炭素量が増えているため、海洋に吸収される二酸化炭素が多くなっていて、これが海洋の酸性化を招いています。サンゴが死滅したり、貝類や甲殻類の発育が阻害されたりすることで、生態系に影響を及ぼしています。さらには、海水面が上昇することで美しい砂浜の景色が一変しています。この景色は貴重な観光資源なのですが、観光需要が低下することで、経済的に打撃を受けるようになってきています。海洋ごみの問題も深刻です。年間800万トンのプラスチックごみが海に流れこんでいると言われていますが、それらのごみが沿岸に漂着することで、環境の悪化や観光への影響、そしてなにより海の生物たちへ深刻な影響を与えてしまっているのです。

 

 SDGs13番「気候変動に具体的な対策を」では、世界が一体となって温室効果ガスの排出を抑える努力や、新技術の開発を展開していますが、目立った成果が上げられているかどうかは疑問が残ります。また、SDGs14番は「海の豊かさを守ろう」です。プラスチックをはじめとしたごみを出さない、リサイクルする、といった取り組みを急がなければなりません。

 

 これらの問題を速やかに解決に向かわせるためには、島嶼諸国だけでなく世界各国が一体となった強力な推進が求められるでしょう。